1月8日(日) 支援者向け「多読を始めたい」+「取り入れたその先にあるもの」報告

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2017年1月8日日曜日、NPO多言語多読事務所にて、支援者養成講座が行われました。10時半から昼休みをはさんで16時半まで、2部構成でした。

正月らしいきりりとした寒さの中、17名が集まりました。現在多読支援をされている、これからしようと考えていらっしゃる英語教師の方々が大多数でした。

第1部「多読支援をはじめたい方へ」酒井理事長

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酒井理事長

第1部は「多読支援をはじめたい方へ」と題し、酒井邦秀理事長が担当しました。
まず、多読とは何か、なぜ多読が必要かの説明がされました。実例を豊富にあげたお話に得意のマウスアートが花を添えます。「生きた英語を絵本から」「やさしい絵本をたっぷりと」、さらに支援者自身が多読をする大切さも強調されました。

理論の後はいよいよ実践、おなじみOxforod Reading Treeの登場です。皆様には、お話の世界に入りこめるようにしっかりと絵を見る体験をしていただきました。絵本の世界に入ることで、生きた人間が生きた言葉を使う場面を経験します。何度も経験を重ねてこそ言葉は自分のものとなるのです。和やかな雰囲気でした。

まとめとして、多読支援3原則、多読支援2要件、支援体制2要件が揚げられました。
多読支援は単純だと理事長は言います。生徒の目の輝く方へ進むだけ、すべては生徒が教えてくれるということでした。

第2部「多読支援の先にあるもの」伊藤幸子講師

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伊藤幸子講師

第2部は、伊藤幸子講師による「多読支援の先にあるもの」でした。村岡千秋講師と鈴木祐子会員も応援にかけつけてくれました。

はじめは、村岡講師による中等科高等科多読支援の経験談でした。学校での多読支援の難しさがどんなところにあったか、どう工夫していたかのお話とともに、生徒たちに人気の本の紹介もされました。講師自身が多読を楽しみ、その楽しさを生徒たちと分かち合っていた様子がうかがえる、ワクワクさせられるブックトークでした。

次に、鈴木会員がご自身の英語教室で人気のシリーズ本とその本を紹介するアニメを披露されました。映画の予告編そっくりに作られたアニメを見せてもらうと、今まで興味のわかなかった本が不思議と魅力的に思えてくるのでした。導入を工夫する多読支援のアイデアはとても楽しいものでした。

伊藤講師は、多読には常にメインテナンスが必要というお話をされました。そのためにどういう形で授業を行うか、多読し続ける人を育てるにはどうするべきかを考え、ご参加の皆様と共有されました。先生方の真剣な面持ちが印象的でした。

お話の後は、グループに分かれて、多読支援の問題点やアイデアを話し合いました。互いの経験を持ち出しあい、問題解決の糸口をつかもうとなさる先生方の真摯な取り組みに心打たれました。いくつかの具体的な方法がシェアされ、実り多い時間となったのではないでしょうか。

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最後に: アンケート紹介

最後に、アンケートをとりまとめてご紹介します。

本日の講座でよかったこと、そのほか、ご意見ご感想など

  • 午前午後で、理論と実践のつながりがありとてもよかったです
  • かんたんな本で良いのだということがわかりました
  • 多読に熱意ある先生方のお話にパワーをもらった
  • 支援者同士のシェアの時間
  • 全て有意義だった

より多かったご意見です。それぞれ午前午後への詳しい感想もありました。そして目立つようになったのは、支援者の先生方同士の時間についてです。多読の広がりも感じますが、ともに学び、交流するなかで、少しずつ「つながり」の輪ができてきたのかもしれません。

今後も取り上げてほしいこと、支援者講座や当NPOに期待したいこと

  • 本の揃え方、具体的な購入すべき本(購入方法)
  • 本紹介、おもしろい絵本紹介、支援者同士でブックトーク
  • 授業での実際のノウハウ、具体的な授業の進め方、実際の授業導入例、授業の中でどのように多読を取り入れていくか
  • 少し読めるようになってきた生徒がYL0→1への壁、YL1→2への壁を越えていくときどのように支援していくか
  • 小学校での状況
  • 保護者向けの事例、体験談など
  • 多読でどのくらい力がつくのかの調査
  • 初めての先生のための講座をコンスタントにやってほしい
  • まとまった量の本でレベル別セット(短いもの)の貸出(たまには違うものを読ませてあげたいときに役立つかも)
  • 支援者ネットワークを作るきっかけになったらいいと思った

やはり今回も多読用図書や、実際の授業への取り入れ方への要望が多く聞かれました。ご参加の先生同士のブックトークも相変わらず声があがります。どれも尽きない話題なので、これからも講座でうまく取り入れていきたいと思います。また、当NPOや支援者講座への要望もありがとうございました。これからの活動への参考にさせていただきます。


お帰りの頃には、外はすっかり暗くなり、冷たい雨が降っていました。連休の中日でしたが本当に多くの皆様にお集まりいただき、感謝いたします。お忙しいなか、ご参加ありがとうございました。今後も「多読いいね!」先生たちの参加を楽しみに待っています。

(報告/フジオカ、アンケート/大賀)