10月7日(金)浜松国際交流協会主催 日本語学習支援者スキルアップ講座 報告

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10月7日(金)に、日本語学習支援者スキルアップ講座 ~日本語教室で実践!『多読』を始めよう! の講師を務めました。
20名ほどのボランティアや日本語学校や高校の先生などが集まってくださいました。

 

今年は、何かと浜松に縁があるようです。
この講座は浜松市外国人学習支援センターで行われました。母体は浜松国際交流協会。通称HICE。多文化共生、国際交流の活動を30年以上にわたって続けてきた団体です。
今回の講座のきっかけは、3月20日に酒井理事長が行った浜松市立中央図書館の英語多読講演会だそうです。担当者がこの講演を聴いて、「日本語でも多読は効果的に違いない」と思い、4月から日本語学習者の授業に「多読」を採り入れたそうです。英語多読から日本語多読につながったうれしい例です。

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ここで多読が採り入れられているのは、「読み書きクラス」。文字を習ったばかりの学習者に「多読」を通して文字や読むことに早くから慣れてもらう、というとてもきめ細かいカリキュラムになっているようです。ただ、初めての試みなので、どう授業を進めたら良いのか、ボランティアの先生方に迷いがあるということで、この研修講座を行うことになったというわけです。

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9時半~12時半の講座で、時間がたっぷりあったので、「多読とは?」のお話から、授業のやり方、効果などを動画で見ていただき、英語や韓国語での多読体験にも時間を取ることができました。多読に使うレベル別読み物も手にとっていただきました。
東京で30年、日本語教師をされていたという方が、「このような本(レベル別日本語多読ライブラリー)があるなんて知らなかった。日本語学校ではこのような活動は入れようがないのでは?」と発言され、まだまだ多読が浸透していない現実も突きつけられましたが、それも含めて、たくさんの質問が出て、中身の濃い講座になったと思いました。
以前、東京での「リライト講座」に参加してくださった先生に5年ぶりに再会できたこともうれしかったことのひとつです。

以下は、当日のアンケートからのみなさんの声です(一部抜粋)。
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■ 講座内容で、何が参考になりましたか?

・考え方、やり方(辞書を使わない、分からないところは飛ばすなど)
・「多読」のコンセプトは興味深いし有効だと思った。
・多読体験 – 自分が絵を見て内容を理解できた。多読が目指すところが少し理解できた気がした。
・絵から状況を理解する → 文字を読む・読める様になる ←学習者自身の積極性引き出すことがベース
・「絵」の重要性、有効性を再認識した。
・とにかく楽しく読む、多読の支援
・始めは“読み聞かせ”が有効であることが分かってよかった。
・支援者同士の何をシェアしたらよいかもわかりました。
・本の中の活字を拾うのではなく、絵の中から想像してオチが分かれば OK である。
・まず感じることが大切で、それが気付きになり言葉が浸透していく感覚が伝わってきた。
・支援者の役目と先入観をもたないこと
・言語を母国語で変換しないで読むことの大切さ

■ 講座の感想、講師へのメッセージをどうぞ。

・説得力のある講座で勉強になった。
・多読が語学力とどのように結びつくか正直疑問でした。多読が語学学習の中の一つの手段であり、学習者自身の気付きが大切だと知り、納得いく部分があった。
・にがてな「漢字」習得のヒントをいただいた。
・難しい内容を本当に分かりやすいスピードと言葉で説明して頂け参考になった。
・私も本を読むのは好きなのですが、外国語の本を読むときは辞書を引きがちでした。日本語の学習者さんにももちろん、自分自身も読むことの楽しさをまず感じていけるようにしたい。
・頭の中で母語を訳さず、自力でスラスラ読めるものを読む、理解できないところはとばすというのは外国語を学習したときに勉強した。楽しかったです。
・子供が日本語を覚えていくようにすすめていきたいと思った。
・テンポよく実際のクラス運営、体験を交えてお話いただき、目の前で多読のクラスを見ながら講義を受けているようで楽しかった。
・レベル別ライブラリー、すばらしいと思う。(このような研究活動があることを知らなかった。)
・とても分かりやすい説明、進め方で受講してよかった。多読の難しさはコミュニケーション、声かけの大切さを痛感した。

(粟野)