8月24日(水)日本語学校教育研究大会・分科会報告!

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平成28年度日本語学校教育研究大会2日目の分科会で、多読実践についてお話ししてきました。(会場:国立オリンピック記念青少年総合センター)

この研究大会は、全国の日本語学校の先生たちの年に一度の勉強会です。実は、筆者・粟野は日本語学校教師時代の2007年に同大会で「多読授業の研究」を発表したことがあります。あれから9年!今度は講師として招かれました。ということは、日本語学校の”多読状況”に明るい兆しが・・・?

午前10時からの分科会IIのテーマは、「実践共有を通した学びあい・その方法4 読むを楽しむ–初中級からの読解力育成–」でした。
まず、京都日本語学校の桑島先生が「日本文化を読む」という授業の実践についてお話しされ、そのあと、参加者が小グループで意見交換し合う時間が設けられました。
次のセッションが「多読」でした。Exif_JPEG_PICTURE
聞いてみると50人ぐらいの参加者のうち、多読を知らない方が7割以上!知っている方が2割。実践されている先生が4人でした。
日本語学校に関しては、9年前とあまり状況は変わっていないようでした。

気を取り直して・・・「どうして多読なのか」「どう実践するのか」、そして「どんな効果があるのか」まで20分という制限時間の中で急ぎ足で説明しました。(それでも若干時間オーバー)そして、同様に小グループで、多読について考えたこと、疑問に思ったこと、自分の授業に取り入れられるかなどの話し合いをしてもらいました。

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アスク出版「よむよむ文庫」のサンプルを手にグループの中を巡回していると、

「見せてください!」とあちこちから手が伸びます。(初めて見る先生がけっこう多いんだ・・・)
「辞書を引かせなければ読まないという学生にはどうしたらいいですか?」
「本を揃えるのにいくらかかりますか?」
「評価はどうしますか?」などの質問が出てきました。20160824-3最後に、もう一度全体で質問を受けると、多読の効果、授業の形態などに関する質問がいくつか挙がりました。
辞書の問題や、どういう指導をするかについては、もっともっと時間がほしかったのですが、仕方ありません。こんな「読むを楽しむ」アプローチがある、ということだけでも伝わったらうれしいです。
1年~2年の間に能力試験を受け、大学や専門学校に進学しなければというプレッシャーのある日本語学校では、確かに時間のかかりそうな「多読」は受け入れにくいのかもしれません。でも、とくに「読み」の指導が深刻な非漢字圏の学習者には、なるべく早い時期から多読のルールで読むことを楽しんで慣れていくことが必要なのではないでしょうか。

閉会後に「初級が終わった学生たちに今すぐ多読をさせたい、そうしないと辞書引きの癖から抜け出せない」と言いに来てくださった先生がいらっしゃいました。(やった~!)学校に1セット、「よむよむ文庫」があるけれど、「どう使ったらいいかわからなかった」そうです。

ところで、後で、複数の知人からtwitterでこのセッションのことを知ったとメールをもらいました。会場から、どなたかが私の話の様子をツイートしていたんですね。パワーポイントの画面を撮影したり、話を聞きながらツイートしたり、学生だけでなく先生たちもスマホが手放せなくなってるんですね~。

(粟野)