3月2日ワークショップ「大学図書館で楽しく身につく使える英語」報告

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3月2日(水)に、広島大学図書館にて、ワークショップ「大学図書館で楽しく身につく使える英語」が開催されました(国立大学図書館協会中国四国地区協会主催)。
当NPO多言語多読の酒井邦秀理事長が、「図書館多読入門」と題して講演とワークショップを行いました。
参加者は約60名。広島大学をはじめ、岡山大学、鳥取大学、高知大学、徳島大学など中国四国地区の大学のほか、九州大学などの参加もありました。

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さて、講演は、世界の美しい図書館の写真をお見せしつつ、大学図書館は「世界の知の集積」、それを楽しむために「多読」を!、という話が導入でした。
そして、では、なぜ多読なのか。
これまでの英語教育の失敗に、触れる英語の量が圧倒的に少ないこと、そして質が悪いことが挙げられました。そして、多読をすれば、体に取り入れる量が増えて、いずれ樽からあふれるように英語が使えるようになるという話に続きました。
それを可能にした多読の三本柱は「多読三原則」「大量のやさしい本」「仲間」だということ、多読で効果を挙げた例についても語られました。

さて、ここで、おなじみOxford Reading Treeを使ってのワークショップです。
パラパラと絵を素通りしてしまうみなさんに、「メガネを見つけてください」「へんなおじさんを見つけてください」という声が飛びます。「ああ、あった、あった」と会場が和む一瞬です。
それから、「Oh,no!」「cross 」「What a mess!」をみんなで探しました。そして、on が「上に」ではないこと、climbが「登る」ではないという話に続きました。
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日本語にあるものが必ず英語にあるわけではない、外国語同士、音、意味など何一つ同じものはないということを納得していただけたでしょうか。
活字を解読して読むのではなく、絵から、状況から、世界を読むことが重要。それを通じて言葉の意味がわかってくるのだ、ということが最後に強調されました。
この多読支援ができるのが図書館です。ぜひ、絵本も導入して図書館多読が広げていってほしいものです。

講演の後、「やっぱり、絵本からですね~」と何人かの方から言っていただけたのがうれしかったです。

次に、神戸学院大学の玉木一成さんによる講演「神戸学院大学『図書館留学』について」がありました。
これが実にすばらしい実践なのです!
図書館が見事に多読多聴多話支援の場になっています。
8000冊の多読本があり、多読支援が実にきめ細かく行われています。さらにシャドーイングやスピーキング支援、字幕で英語の映画を見る会まで!それが、特別な予算はなく、すべて図書館職員のチームワークでなりたっていることにも驚きました。それに、多読の考え方が、私たちNPO多言語多読の発信している内容にとても近いのもうれしいことでした。後でお聞きしたところ、ブログ、サイトなどよく読んでくださっているそうです。今後は、ほかの言語にも広げて学生を支援していきたいともおっしゃっていました。
こんな図書館があるなんて学生は本当に幸せだと思います。まさに「図書館留学」ができるのです!
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(スタッフの手作りというチラシも充実!)

詳しくはぜひこちらをご覧ください。→http://opac.kobegakuin.ac.jp/?page_id=299

最後の報告は、広島大学図書館の上田大輔さんによる「広島大学ライティングセンターにおける英語文章ライティング支援について」でした。ライティング指導の能力のある大学院生が、論文などの書き方支援をしているそうです。これもまた、大学図書館ならではのユニークなサービスだと思いました。

情報交換会、それから二次会と、参加者のみなさんとその後も話がつきず、有意義な一日となりました。

(粟野)