8月23日岐阜県可児市国際交流協会 多読研修セミナーとワークショップ報告!

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報告がかなり遅れてしまいましたが、8月23日(日)に岐阜県可児市国際交流協会主催の多読研修の講師を務めました。午前は講義、午後は、実際に学習者とボランティアのみなさんが参加する多読ワークショップを行いました。
午前中の研修に集まってくださった方は7名。
実は、可児市国際交流協会には、2014年1月に一度お邪魔しています。
そのときは、多読についての講演、そして、読みもの作りのリライトまで行いました。ところが、その後、日本語教室に多読が定着しなかったとのことです。理屈は伝わっても、実際に本をどう使って、どう学習者に読んでもらうのか、具体的に頭に描けなかったということだったのではないかと思います。多読支援の実際を理解してもらうって本当に難しい・・・。
今回は、多読の様子や多読の効果を語る学習者の姿を動画で見てもらった後、午後、実際に学習者に多読をしてもらうので、実践に結びつきやすいのではないかと期待。さて、どうなるでしょうか。

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受講生のみなさんは、外国ルーツの小学生に日本語を教えている方が比較的多かったです。子どもは、もともと「多読的読み方」ができる(というかそれしかできない?)ので、どんどん読み聞かせをしていってほしいなあと思いました。
字が読めるようになって生活が楽になったと語る生活者や読んだ本の内容を思わず一生懸命語る学習者の姿を動画で見て、「感動しました」と言って下さった方がいらっしゃいました。この方はご夫婦とも外国籍の方で、ご主人が日本語の読み書きがあまり達者じゃないので、お嬢さんとのコミュニケーションに支障が出ることがあるそうです。「やっぱり読めることは大切だと実感しました」。

さて、午後の多読ワークショップ。通常の日曜クラスに参加する方たちが9人集まりました。しかし、なんとそのうち5人がこの日、初めての参加で、そのうち4人がひらがなも読めないとのこと。予想外のことが起こるのがボランティア教室。全く初めての方向けの本が足りない中、ワークショップが始まりました。

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レギュラーの4人は、日本に来て1年以上。日常会話はかなりなめらかですが、日本語の本は全く読んだことがないそうです。なので、「レベル別日本語多読ライブラリー にほんご よむよむ文庫」(アスク出版)レベル0から順番に読んでもらいました。学習者の横には、セミナー受講をしなかった方が3人、受講された方が1人座りました。

日本語ゼロのみなさんの2つのテーブルにも、今日のセミナー受講生と受講されない方が混合で入りました。「きんぎょがにげた」「やさいのおなか」「ただいまー」「どいてよへびくん」など絵を見て、話の予想がつきそうな入門用絵本の読み聞かせがそれぞれ始まりました。みなさん、絵を見て理解させるように一生懸命語りかけていました。繰り返しが多い本ばかりなので、何回目かには学習者の口からその音が出るよう促します。「にげた」「これなあに?」「どいてよ!」「ただいまー」などは、すぐに口から出てきました。そうなったら、学習者のほうで「これが、”ど”だ!」とか「ここに”ま”がある」などと気づくことが出てきます。そうやって意味と字の読み方に楽しく慣れた2時間でした。
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これが、「多読的に本から学ぶ」の一例ですが、午前の受講生のみなさんは「教えない」という意味が、よーくわかって下さった様子。だた、2時間と長いので、本が足りなくなると、今度は一冊の本を全て学んでやろうという気持ちが学習者に湧いてきます。この日も、結局、ひらがなをいっぱいノートに書き付けてローマ字で発音を書く学習者が見られました。(それはそれでいいのですが、全部覚えてやろうというモードはなるべくつくらないほうがいいですね)

さて、中級者のテーブルは?
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順調にレベルゼロを読んでいましたがが、隣のボランティアさんとおしゃべりをしながら進んでいる様子。とても楽しそうなので、それもいいのですが、一人で本の世界に没頭する経験もしてほしい。なので、途中で、朗読音声を聞きながら読む、聞き読みを勧めてみました。「タクシー」を聞き読みした方は、聞き読みのほうがずっとおもしろいと興奮気味。
みなそれぞれレベル0、1、2と数冊読みました。

最後に、中級のテーブルから、おもしろかった本の紹介をしてもらいました。
「タクシー」のあらすじを話した人、「ジョンさん、バスの中で」を話した人、どちらも一生懸命ですばらしかったです。「どうして猿の尾は短い?/どうしてクラゲには骨がない」を挙げた人も。「笑い話」の「お金がありません」という話を「ひどい!」と言った女の子もいました。
みんな楽しんでくれたようです。

さて、今後、多読は教室に取り入れられるでしょうか。よい報告を待ちましょう。
多読研修後にワークショップ、この流れは支援者の方に指導の仕方がわかってもらいやすいと思いました。
実際の教室活動につながるようにこんな形のセミナー、機会があればまたやってみたいです。
(粟野)