2/7(土)英語多読支援者のための相談会!報告

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今月7日、英語多読支援者のための相談会が当事務所でおこなわれました。
講師は伊藤幸子先生(渋谷教育学園渋谷中学高等学校 英語科)で、昨年支援者のための連続講座を担当してくださった方です。

当日は土曜の夜にもかかわらず、学校の先生、司書の方、多読実践者の6名が集まってくださいました。

1多読とは?
自己紹介のあと、まず「多読とは?」をテーマに、出版されたばかりの『図書館多読への招待』の中から多読実践者の声を引用しながら「生きた英語に」「たくさん触れる」ことの重要性が語られました。

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2学校教育・英語の授業/レッスンとの整合性
従来の学校英語で扱ってきたのは、おもに英文法・構文・和訳して理解しようとするreadingでした。これらのねらいは「日本語で理解できる」「テスト問題に正解できる」「文法・構文・語彙の理解と習得」などです。それに対し、多読では「生きた英語にたくさん触れる」「自発的読書活動の習得」を目的とします。特にこの「生きた英語にたくさん触れる」ことがこれまでの日本の英語教育に抜け落ちていた部分ではないかと伊藤先生はおっしゃっています。

ただ、多読を行うに当たっては学校特有の課題が存在します。そのひとつはテスト問題に対応できないということです。そのために他の教員や保護者の方の理解が得られない場合があります。伊藤先生は「なんとかうまく多読を英語のカリキュラムにしのびこませる」ことが必要と強調されました。
また、どのような意図を持って学校で多読を行うのか、どのようにして生徒たちに生きた英語に触れさせるのか、自発的読書活動に導くのか等、しっかりとした考えを持つことだとおっしゃっていました。

語彙については、まったくゼロから始める人に対してはそれなりの工夫が必要とのことでした。このことは、帰国子女であり、ご自身が日本語習得にご苦労された体験も交えて語られました。
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3多読に適する図書
ここでは、Oxford Reading Tree (ORT)、Longman Literacy Land Story Street(LLL)をはじめ、I CAN READなどの絵本、Oxford BookwormシリーズなどのGraded Readers、英語圏の児童書などが紹介されました。
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4多読実践の実際
学校によって多読を行える条件はさまざまで、どの本を何冊そろえるか、何年生を対象とするか、週に何度行うか、図書館の中の工夫(ポスター展示、ブックカートの利用、本棚の工夫)など多様な実践例が紹介されました。

5質疑応答
Q1 多読図書の置き場所、管理はどのようにするか?
A1 (例)図書室のほかに 空き教室や空きスペース、教科室の利用など。

Q2 多読授業時に、生徒が移動するのか、図書を教室に持って行くのか?
A2 学校によってさまざま。両方の例がある。

Q3 問題点は何か?
Q3 多読授業では本を生徒が自分で選ぶため、教室内を移動したりしてうるさくなることがある。他の教室への配慮、他の教員・教科との折り合いが大切。

その他、具体的に勤務校の状況をもとに質問や報告が活発になされました。
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参加者はどの方もたいへん熱心で、事務所の絵本や漫画を参考にメモをとる方、伊藤先生への相談などお話はいつまでもつきない様子でした。

これから始める予定の学校の先生方、また始めたばかりの学校ではご苦労もいろいろとあるようです。当NPOでもこのような相談会などの機会を利用して、先生方や司書の方々のサポートをしていければと思います。
参加してくださったみなさん、ありがとうございました。

※参考図書
『図書館多読への招待』酒井邦秀、西澤一 日本図書館協会
“Extensive Reading in the Second Language Classroom” Jack C. Richards

(文責・写真 山谷麻由美)