3月23日第13回「多読のためのリライト講座」報告

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第13回「多読のためのリライト講座」、参加者は5名でした。ボランティア教室で日本語を教えている方、横浜の日本語学校の先生2人、大学の日本語科の先生、インターナショナルスクールの先生。
全員、日本語教育の現役の先生で、ボランティア教室の方は、当NPOの英語多読の受講生。多読についてご存じだという方ばかりでしたので、多読とは何か、という概論的な事は短くお話しして、多読授業の様子をスクリーンに映して、見ていただきながら話を進めました。
T日本語学校の先生が、読みものを準備する時点で、早くも4人の先生から、「え~、あんなにたくさんの本、どうしたら買って貰えるんだろう」という、ため息混じりの声が上がりました。
次に、授業で声をかけるタイミングなどを、J日本語学校の場面で見ていただくと、「1人1人にあんなに長く感想を聞いていたら、全員にまわらないのではないか?」「感想を言わせることも、多読授業の一貫なのか?」等の質問が・・・。
ボランティア多読教室での読み聞かせの場面や、学習者が読み終わった(聞き終わった?)「舌切り雀」を一生懸命再現しているところも、「読み聞かせをしていると、他の人に迷惑になるのではないか?」「授業で一人一人に話させるのは、時間が足りなくなってしまうのではないか?」という質問の声が上がりました。
事情を伺うと、学校側の意向があり、50分をまるまる多読に使うことはできそうもない、20~30人というクラスの人数を考えると、個別に読み聞かせたり感想を聞いたりすることはできそうもない、ということでした。う~ん、確かに現実はそうですよねえ・・・
英語のORTを字の少ないレベルから多いものまで見ていただいて、午前の部を終了。
お昼を食べながら、いくらぐらいあればよむよむ文庫が1セット揃うのか。などの話。ブックオフで漫画や、絵本などを買ってきて混ぜれば、それほどの費用はかからないと説明するが、大学も日本語学校もインターナショナルスクールも予算を付けてもらうのはとても大変なことだそう。
また、大学では、多読授業をした場合、評価をどうするかが大きな問題だということなので、いろいろな評価の工夫の例をお話ししました。

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午後は、リライトのポイントを説明してから、語彙表と文型表を見ていただきました。レベル分けの根拠を気にする方が2人ほど。絶対的なレベル分けではないのだ、ということを話しました。
さて、イソップの「ウサギとカメ」を二つのグループで、レベル1にしてもらう。ウサギが起きてカメが山頂にいるのに気づき「あっ!」という顔のドアップで、終わりにしたグループあり。これは、制作中の多読文庫にいただいてしまおうかなと思いました。
「注文の多い料理店」をレベル4に。こちらは、原文を見ていただいてのリライトでしたので、なかなか大胆な物にはしきれなかったようでした。1-2ページ分終わったところでよむよむ文庫の「注文の多い料理店」を読んでいただきました。
「ああ、全部読んで自分のものにしてからでないと、リライトって、出来ないものなんですね」という、ピンポ~ン!の感想が出ました。
最後に、今日の講座の感想を聞きました。動画を見たことやORTを見たことがリライト講座へとどう結びつくのかわかりにくかったという、意見があり、全員日本語教師なのだからと安心しすぎてそのあたりの説明が雑になったなあ、と反省させられました。
皆さんが、時間と予算の厳しい中で、今後少しずつでも多読による日本語学習を授業に取り入れるつもりだと言ってくださったのを、うれしく思いました。
(松田)